鉄骨階段の事故は実際に起きている。踏み板や踊り場の抜け落ちを“他人事”にしないために

鉄骨階段の怖さは、壊れ方が分かりやすくないことです。外から見て少しサビている程度に見えても、裏側や接合部、内部の下地が腐食していれば、ある日突然、踏み板や踊り場が抜けることがあります。実際に2021年4月、東京都八王子市の共同住宅で屋外階段が崩落し、住民が転落して亡くなる事故が起きました。国土交通省はこの事故を受け、関係する他物件の現地調査を要請し、再発防止策の検討を進めています。

2024年5月札幌市清田区のアパートで外階段の踏み板が抜け落ち住民が転落

さらに北海道でも、2024年5月に札幌市清田区のアパートで外階段の踏み板が抜け落ち、住民が転落してけがをしたと報じられました。北海道内では、過去にアパートの外廊下の床が抜けて複数人が転落した事故も報じられています。階段や廊下のような共用部は日常的に荷重がかかるため、腐食や接合部の劣化が進むと、一気に事故へつながりやすいのです。

こうした事故が起こると、「そんなに古い建物だったのか」と思われがちですが、必ずしも築年数だけが原因ではありません。設計、施工、納まり、水のたまり方、防水処理、塗装の更新状況、点検の有無など、複数の要素が重なって危険な状態になります。八王子の事故でも、国の資料では設計・施工・維持管理の各段階で確認を強める必要性が示されました。つまり、事故は単純に“古いから”ではなく、管理が追いついていない時に起きやすいとも言えます。

鉄骨階段の事故を防ぐために必要なのは、派手な大規模工事よりも、まず早期発見です。サビ、ぐらつき、異音、踏み板の沈み、雨のたまり、手すりの緩み。こうした小さな異変を「まだ使える」で済ませないことが、最も大きな事故防止になります。共用部の不具合は、住民だけでなく、来客、配達員、点検業者、子ども、高齢者など、誰にでも危険が及びます。だから鉄骨階段の修理は美観の問題ではなく、人命を守るための安全対策として考えるべきです。